大動脈弁置換術
大動脈弁とは、心臓のポンプである左心室の出口にある弁です。この弁が石灰化やリウマチ熱などにより可動不全に陥ると大動脈弁狭窄症に至ります。また、逆に大動脈弁の周りの組織が拡大すると大動脈弁が閉鎖しきれなくなり、弁に逆流を生じる大動脈弁閉鎖不全症に至ります。
どちらの疾患も、重症の場合、開胸による手術が必要になります。手術の場合、パイロラティックカーボン製の機械弁か牛や豚の心膜から作成した人工弁を移植することが一般的です。
機械弁の特徴はその耐久性で、一度移植すれば、ほとんどの場合一生涯弁の機能を発揮することが報告されておりますが、ワーファリンという抗凝固作用(血液をサラサラにする)のある薬剤を一生内服する必要があります。また、定期的な血液検査も必要となります。
一方、生体弁は耐久性に問題がありますが(一般的に15年前後で再置換が必要)、ワーファリンの内服を術後3か月程度でやめることができます。
当科では、65歳以上の患者さんには生体弁を、それ以下の年齢の患者さんには機械弁を推奨しております。