2013.10.05 UP
札幌医科大学 心臓血管外科 山田 広幸
この度、去る10月5-9日にオーストリアのウィーンにて開催された”the 27th EACTS Annual Meeting”に参加する機会を頂いたので概要を報告させて頂きます。
恥ずかしながら、卒後3年目、入局初年度の自分に自らの発表演題はありませんでした。今回は「若手に国際学会の経験を」というご厚意に甘え、樋上教授、宮木先生に率いられ、同期の渡邊と共に参加させて頂きました。
新千歳を発ち、成田-ロンドンを経由しウィーンまでの道のりは、乗り継ぎを含めるとおよそ24時間を要しました。日本との時差は7時間、北緯48度に位置するオーストリアの首都ウィーンは、10月上旬でも最低気温は5℃を下回る寒さでした。
学会会場はドナウ川のそばにあり、ホテルのあるウィーンの中心部からは地下鉄で10分程の距離でした。
地下鉄の駅に向かう途中、美しい西洋の町並みの中にあるシュテファン寺院やホーフブルク宮殿など壮大な建築物に感銘を受けました。非日常的な環境に興奮を覚えた一方で、気が付けば現在地を見失い、教授との待ち合わせに遅刻寸前という憂き目にも遭いました。方向音痴ではないと自負していた自分も、近頃は携帯電話の地図とGPSに頼り切っていたことを痛感しました。
学会1日目は”TECHNO-COLLEGE”でした。TAVIは勿論のこと、カテーテルによるvalve in valveの僧帽弁置換術、僧帽弁輪形成術、またtransapical-accessによる大動脈ステント留置など低侵襲/非開胸手術に該当するテーマが多くを占めました。開胸手術に憧れて心臓血管外科を志した自分は幾分複雑な気分ではありましたが、見慣れぬデバイスの数々にこの業界の未来を感じました。そのほか、今年は3D映像を用いたライブ手術などの新たな試みもあり、非常に興味を持ちながら楽しむことが出来ました。
2日目は”POSTGRADUATE COURSES”であり、若手の外科トレーニング環境についての講演の後、自分は主に”Acquired Cardiac Disease”のセッションを聞きました。やはりここでも経カテーテル治療など低侵襲な治療に関連した話題が多かったように思います。
3-5日目は”ANNUAL MEETING”でした。今回の演題は343題(うちフィルム19題)であり、日本からの演題はフィルム2題を含む計33題でした。自分は前日同様に”Acquired Cardiac Disease”のセッションを中心に聴きました。英語の苦手な自分は、抄録を片手にスライドを見ながら理解するのが精一杯であり、なかなか口演内容の理解には至りませんでした。さらには活発に交わされる質疑応答などは全く分からぬ場面があり、語学力不足を悔やんだ一方で今後の英語学習の良いモチベーションになりました。
今回は「国際学会を経験する」との理由で同行させて頂きましたが、将来いずれは自らの演題を携えてEACTSに参加したいと感じました。当教室の諸先輩方にも同学会の発表実績が多数あるというのも非常に良い刺激になっております。
まずは地方会、全国会、アジア国際学会…と、いずれは今回のような世界規模の学会で発表する機会を得るべく日々精進しようと思います。
また過去にEACTSに参加された諸先輩方からは、移動に関するトラブルが多々あったように伺いましたが、今回は幸い何のトラブルも経験することもなく帰国することができました。
最後に、このような貴重な機会を下さった樋上教授をはじめとする教室の皆様に心より感謝申し上げます。
シュテファン寺院
ホーフブルグ城
学会会場
3Dライブ手術
2012.10.01 UP
札幌医科大学心臓血管外科学講座 中島 智博
2012年10月にバルセロナで開催された、第26回EACTSに参加させていただきました。
樋上教授の御厚意で、発表無しで参加しました。教室の先生には非常に迷惑をかけました。
バルセロナまでは、ドイツミュンヘンで乗り継いで、その時間も含めておよそ24時間かかりました。ヨーロッパ旅行は初めてでしたが、飛行機で寝られたことが幸いして、行きも帰りもそれほど時差ボケを経験しないですみました。機内では食べ飲みも充実していました。
学会自体非常に刺激になりました。
会場の大きさ、規模の大きさなど。日本の先生でも英語で流暢に発表している先生がおり、僕もそうなりたいなと思いました。
内容は、新しいデバイスの発表があり、非常に独創的でした。
カテーテル治療を中心として、弁置換や弁形成も新たなデバイスがありました。
ライブ手術もあり、学会として興味を持てました。
ヨーロッパの先生は、症例経験が多く、手術手技が長けているのは当たり前で次のデバイスを考えているのだなと思いました。
今後はデバイスが日本に入ってくるので、その時に精通して、手術かデバイスの使用か適切な判断ができるようになりたいです。
バルセロナは非常に綺麗な都市でした。食べ物も美味しく、スペインワインも美味しかったです。一部治安が悪い個所があるようで、スリもあるようです。けど、夜間に独り歩きしないなど気をつけていれば大丈夫でした。
サクラダファミリアも非常に綺麗な建築物でした。現在も建築途中です。
英語不勉強で地元の方と全然会話できませんでした。次回までせめて会話が少しできるレベルに持ち上げていきたいです。英会話の勉強をはじめました。
僕は、医師9年目での参加でした。
海外学会はアジア胸部外科学会に続いて2回目でしたが、さらに刺激を受けました。
来年からEACTSに演題を出して、常に挑戦して、早くにあの場で発表できるようにします。
外科医として精進します。後輩にも機会が与えられることを祈ります。
学会会場前にて
サクラダファミリア前にて
マドリードのメインストリート ランブラス通り
冠動脈バイパス術の自動吻合器の発表
僧帽弁形成術の新しいデバイス
学会会場
ライブ手術の写真
冠動脈バイパス術の自動吻合器の発表
2011.10.01 UP
札幌医科大学医学部第二外科 田淵 正樹
今回ポルトガルのリスボンで開催された25th EACTS Annual Meetingにおける渡辺准教授および川原田准教授の発表同行の機会を得たので概要をご報告いたします。
札幌は秋の気配に包まれ、肌寒く上着が必要なほどでしたが、リスボンは日中30℃を超えるの暑さでした。
学会会場はテージョ川の畔にあり、近くにはベレンの塔など歴史的建造物もあり、学会と観光が両立した場所でした(写真1,2)。
会場は沢山の参加者で溢れていましたが、日本人と思しき東洋人はまばらでした。その中で2つの演題を出した札幌医大のすごさを感じました。発表は川原田准教授が「Selective Perfusion of Intercostal Arteries for Preoperative Detection of The Artery of Adamkiewicz during Repair of Descending and Thoraco-Abdominal Aortic Aneurysm」、渡辺准教授が「Thoracoscopic bi-segmentectomy with vessel sealing system」でした(写真3,4)。全国学会では前日でも飲んでいる先生方も、発表前は真剣そのもので、発表もさることながら質疑応答にも英語でこなす姿に、普段はどこにでもいるおじさんたちに見えますが、会場では尊敬すべき上司として強く印象に残りました。
今回の学会において私自身が強く感じたものは英語の必要性でした。もともと英語に対して苦手意識が強いこともありますが、会場でスライドを見ながら英語を聞いている間はなんとなく話が分かっていても、質疑応答になるとまったく会話の内容がつかめないありさまでした。頭では分かっていても、「英語は話せて当たり前」」という現実を実感してショックを受けました。
今回、国際学会に参加し自信になったことと致しましては、手術手技や個々の症例に対する治療戦略においては、日本の方が丁寧に行われているように感じました。弁膜症では、TAVIの発表が大半を占め、僧帽弁においても形成後の再手術症例に血管内治療の試みが始まっていました(Valve in ring)。大血管領域においても、血管内治療であるステントグラフトを利用したHybrid治療が中心となっており、Debranch TEVAR症例の発表も多数ありました。冠動脈領域では、バイパスグラフトとなるITAのskeletonizeやOPCABに関して、海外ではそれほど普及していないということに驚くとともに、丁寧さや器用さが必要な術式こそ、日本人が得意とする分野なのだと感じました。
学会の発表内容から、これから心臓血管外科の治療は、血管内治療の割合が大きくなっていくと感じました。今後のdeviceの改善により、適応が急速に広がっていくと思われますが、長期成績や医療保険制度の限界などを考えると将来的には後期高齢者や経済的弱者に血管内治療が選択され、早期高齢者や経済的に恵まれたものが従来手術を受けるような時代が来るのではないかと考えます。そのためにも、私たちができることは、血管内治療との共存に加え、従来手術の成績向上や低侵襲化が今後の心臓血管外科の在り方のように思いました。
最後に、過去のEACTS参加においてもトラブルはいろいろあったと聞いておりましたが、今回は飛行機のトラブルに苦しめられました。まず、最初は羽田発ロンドン行のJALがエンジントラブルのため、ロシア上空から羽田へ引き返し、代替え機で再び出発。そして無事にロンドンに到着するも、リスボンへ向かう乗継ができずに、ロンドンに一泊。翌日はポルトガル航空リスボン行が6時間遅れ。目的地リスボンに到着したのは、札幌を出て36時間後でした。さらに帰国時にもポルトガル航空が遅延してロンドン発羽田行のJALの乗継が絶望的な状況でしたが、JALが我々の到着を待ってくれたため無事に搭乗できました。しかし、荷物は間に合わず・・・。トラブルに対する対処や接客マナーを上げても、ポルトガル航空のいい加減さに比べ、日本の航空会社の丁寧で迅速な対応に感心しました。そして、この国民性は医療サービスにも発揮されていると思うと、「日本は素晴らしい!!!」と愛国心が芽生えたのでした。
最後にこのような貴重な機会を下さった樋上教授および渡辺准教授、川原田准教授に心より感謝申し上げます。
いつの日か自分がEACTSの発表の舞台に立てる日を夢見て、まずはラジオ英会話から・・・。
EACTS会場前 【1】
テージョ川の畔 【2】
発表する渡辺准教授と川原田准教授の雄姿 【3】【4】
美しいポルトガルの街並み
共和国樹立記念日の騎馬隊パレード
2011.05.26 UP
これまでに国際学会に参加したことはありませんでした。先生方の留学や国際学会でのお話は伺っていましたが、ぜひ私も国際学会に参加して海外の胸部外科の雰囲気を味わってみたいと思っていました。
昨年末に「何か私でも参加できそうな国際学会はないかな。」と調べてみて、アジア心臓血管外科学会が5月にあることを知り、演題を出してみることにしました。
初めてのことばかりで、まずはpre-registrationという制度があることさえ知らず、こんなに高い参加費が必要なのか、と驚きました(国際学会では標準的な参加費とのことでした)。演題はoral sessionに挑戦したかったのですが、poster sessionとなりました。 学会が近づくにつれて、簡単な英語の履歴書を提出したり、posterを作ったりと少しずつ気分が盛り上がっていきました。 posterも今まではpower pointで数枚に分けて作っていましたが、今回はA0の大きさでデザイン作成し、布版に印刷して持っていくことにしました。poster sessionのため、口頭演術はなかったのですが自分で作った読み原稿を留学から戻ってきたばかりの宇塚先生や宮島先生に見ていただいたり、出来上がったposterを前にして、現在精神科に留学中のDr. Tedにプレゼンテーションの指導をしていただいたりといろいろな人にお世話になりました。
今回のアジア心臓血管外科学会はタイのプーケット(Phuket)で開催されました。プーケットはバンコクから飛行機で南に1時間20分のところに位置するタイ最大の島です。「アンダマン海の真珠」と称され、白い砂浜、美しい珊瑚礁が印象的なアジアを代表するリゾート地です。
今回は、私のco-responding otherである村木先生と、同じくposter sessionに参加する中島先生の3人で参加しました。
5月25日、朝始発の飛行機で札幌から出発。タイのバンコクを経由してプーケットに到着したのは夜8時ころでした(日本とは2時間の時差があります)。到着すると、とても蒸し暑く、一気に南国気分となりました。私は宮崎県の出身で暑くて湿気の多い環境には慣れているはずなのですが、それを遥かに上回る暑さと湿気でした。
学会会場でもあるHilton Hotelに到着し、3人で遅い夜ご飯を食べようとホテルの外に出て数分歩きましたが、それだけでサウナに入ったかのごとく全身汗びっしょりとなりました。明るかったら海が見えるであろう海岸沿いのレストランで早速トムヤンクン、ヤムウンセン、タイカレーを食べました。屋外のため、トカゲがあちこちに出没し、落ち着かないまま初日の晩ご飯を済ませました。
翌日、朝8時30分からpost-graduate seminorに参加しました。会場でregistrationを済ませると、学会提供のバッグをもらいました。バッグの中には分厚いプログラムと折り畳み傘がはいっていました(この傘はのちにとても重宝しました)。この重いbagを持ってseminorの会場案内に従い歩いていきましたが、会場がhotel敷地の外にあり、ものすごく暑いなか会場につくと、すでに全身汗でびっしょりでした。ほんの数分外を歩いただけで汗だくになり、これから先が思いやられました。
post-graduate seminorでは「開心術の再手術について」というテーマで冠動脈バイパス術、大動脈起部置換術、先天性心疾患についての発表がありました。米国、ヨーロッパ、アジア各国から有名な先生が講演してくださいましたが、英語圏以外の先生でもとても流暢に英語で講演していらっしゃいました。私はまだ英語をきちんと聞き取れないため話の内容が分からないこともありましたが、スライドを見ながら何となく理解することができました。札幌医大では最近、再手術、再々手術の症例が増えてきているのですが、日本以外でも同じことに悩み、模索していることが分かりました。また、死亡率が高く驚きました。
丸一日post-graduate seminorで勉強したあと、3人でプーケットの町に繰り出しました。プーケット中心部へトゥクトゥクに乗って、ガイドブックを片手に地元の人が通うというレストラン?(むしろ屋台)に行きました。まず、トゥクトゥクですが小さなトラックの荷台に屋根をつけた乗り物です。プーケットの運転手さんは非常にスピードを出すため、手すりにつかまって落ちないように必死でしたが、気持ちよい風が吹いてまあまあ快適でした。レストランでは昨夜同様、トムヤンクン、ヤムウンセン、タイカレーを食べました。味は地元ならではなのか、日本人の私には若干慣れない感じでした。その後、ムエタイを見ました。ムエタイ見物も初めてでした。中学生くらいの男の子(筋肉もりもりでした)から大人までが独特の儀式の後に試合をするのですが、その儀式が非常に印象深いものでした。
3日目はポスター発表の日でした。朝8時30分から自分のポスターの前で「誰か質問してこないかな」と緊張しながらうろうろしていました。数人の方が私のポスターに興味を示してくれましたが、質問はありませんでした。少し残念でしたが、自分のポスターの前で写真をたくさん取りました。この日は以前一緒に働いていた先生たちのoral sessionがあり、その発表も聞きに行きました。流暢な英語の発表で海外の先生による質問にも英語で的確に回答しており、私も負けられないな、と思いました。
4日目は3人でピピ島ツアーに参加しました。ハリウッドの映画にも出てくるとても有名な島です。道中の船は波が高いうえにものすごくスピードを出すため、海へほおり出されるのではないかというくらい揺れました。島の近くでは船を浮かべて水中ダイビングをしました。海はとても透き通っており、色とりどりの熱帯魚がたくさん泳いでいました。しばし熱帯魚とともに海に浮かんでいました。その後ピピ島へ行きました。入り江に囲まれており、エメラルドグリーンと濃いグリーンの2層にわかれた海の湾が特徴です。映画のシーンさながらの光景で(観光客はたくさんいたのですが)、青い空もあいまってまるで別世界という感じでした。普段の私たちの生活とは全く違う時間の流れと景色でうっとりしました。
今回の学会は、正直勉強へ行ったというよりは国際学会の雰囲気を体験し、やや観光も混ざっていたという感じです。
しかし、世界各国の胸部外科医の集まりに一員として参加でき、とてもうれしかったです。次回はヨーロッパやアメリカのもっと規模の大きい学会にoral sessionで参加したいです。
帰りの飛行機では留学や国際学会といった夢がほんの少しですが近づいたような気がして、病院に戻ったらまた日々がんばろうと思いました。
とても良い経験をさせていただきありがとうございました。
上原麻由子
2009.10.17 UP
今回 (2009/10/17~21) オーストリアのウィーンにて開催された23rd EACTS Annual Meetingに参加し、発表する機会を得たのでその概要を報告します。
会場は、ウィーン市内から東へ行き、ドナウ川をわたった新都市区域にある国際会館で行なわれました。毎年9月に開催されますが、今年は10月であり日本胸部外科学会のあとの10月17,18日の土日でTechno-Collegeと教育セミナーが開催され、Annual Meetingは19日から3日間で開催されました。
昨年の発表者は当教室から、渡辺 敦、栗本義彦と私の3人でしたが、今回は私一人の発表になりました。貴重な機会でもあることから教室から若手の橘 一俊先生と橋口仁喜先生を国際学会経験する理由から同行が許され一緒に行くことになりました。さてプログラムですが、今年は日本人の採用演題が例年より多く採用されており、29題(全部で一般220題、フィルム30題)でした。昨年は25題、その前年は19題ですので毎年増加傾向にあるようです。一般演題は8分の発表で7分の討論が予定されておりましたが、私の場合は討論だけで12分もありました。昨年もフランスのDr.Bachetに質問されましたが、今年も質問されました。自分としては上手に答えたつもりですが、同行した橋口仁喜先生が発表と討論の一部始終をビデオに収めており、あとで見るとなかなか恥ずかしいところもあり、苦笑してしまいます。来年(2010年)はスイスのジュネーブですが、また採用されるように努力を続けたいと思います。
川原田修義
橋口仁喜撮影
2008.09.13 UP
今回ポルトガルのリスボンにて開催された22nd EACTS Annual Meetingに参加し、発表する機会を得たのでその概要を報告します。
会場は、リスボン市内から南西のテージョ川にかかっている全長2278mの4月25日橋の近くにあります。この学会会場からは世界遺産であるベレンの塔やジェロニモス修道院が歩いて行ける距離にあり、会場は2001年のEACTSを行った会場ですので、すぐに行くことができました。9月13,14日の土日でTechno-Collegeと教育セミナーが開催され、Annual Meetingは14日から3日間で開催されました。
今回の発表者はなんと当教室から、渡辺 敦、栗本義彦と私の3人であり、一つのEACTSで3人も発表したのは教室の50年の歴史の中でも初めてではないかと思います。大血管は採用が7題しか無く、そのなかで日本人が3題で、うち2題を栗本義彦と私で発表しました。さて、プログラムですが、今年は1日目と2日目で通常の発表は終了し3日目はEmergency surgeryを特集で行っておりました。したがって昨年の採用演題が236題であったのに対し、今年は180題とFilmが19題の合計199題でした。ヨーロッパが中心ですが全世界からCardiothoracicの演題が提出されております。日本からの採用演題は呼吸器縦隔11題、先天性心疾患8題、心臓関係3題、大血管3題の計25題であり昨年の19題より多く採用されておりました。
渡辺 敦先生は呼吸器外科は世界をみわたしても日本が一番最先端を進んでいるとおっしゃっておりましたが、それがそのまま採用演題数に反映しているようです。
当科は比較的EACTSには多く採用されていて、ここ10年間では
- 1998年 12th EACTS Annual meeting — Brussels, Belgium
- 森下清文
- 2000年 14th EACTS Annual meeting — Frankfurt, Germany
- 川原田修義
- 2001年 EACTS/ESTS Joint Meeting — Lisbon, Portugal
- 渡辺 敦、川原田修義
- 2002年 16th EACTS Annual meeting — Monte Carlo, Monaco
- 深田穣治
- 2003年 2nd EACTS/ESTS Joint Meeting — Vienna, Austria
- 渡辺 敦
- 2004年 3rd EACTS/ESTS Joint Meeting — Leipzig, Germany
- 渡辺 敦、中村雅則(手稲渓仁会病院)、川原田修義
- 2005年 4th EACTS/ESTS Joint Meeting — Barcelona, Spain
- 渡辺 敦
- 2006年 5th EACTS/ESTS Joint Meeting — Stockholm, Sweden
- 川原田修義
- 2007年 21th EACTS Annual meeting — Geneva, Switzerland
- 渡辺 敦
- 2008年 22nd EACTS Annual meeting — Lisbon, Portugal
- 渡辺 敦、川原田修義、栗本義彦
以上のように毎年採用を繰り返しており、このような日本の施設は珍しいのではないかと思っております。
世界の中の胸部外科の3つの大きな学会である、AATS,STS,EACTSに採用される事はとても難しい事ですし、特に採用の難しいAATSでは当科の臨床内容で発表した先生はいませんので、今後は教室の若い先生にぜひともがんばっていただき、臨床ならびに研究面でAATSで発表できるような世界に誇れる優秀な医師になっていただきたいと思います。
川原田修義
2007.09.15 UP
今回スイスジュネーブにて開催された21st EACTS Annual Meeting and Techno-Collegeに参加し、発表する機会を得たのでその概要を報告します。
会場は、ジュネーブ国際空港から、1km程度(小生は、入国審査後に徒歩で参加登録しました)のGENEVA PALEXPOでした。この会場は、市街からは3.5km程度に位置します。広さは70,000m2、東京国際フォーラムが約9,700m2とのことです広大という感じです。人口18万のジュネーブですが、催し物の予定はタイトに組まれており、さすが国際都市ジュネーブとの感がしました。
会場にて
さて、プログラムですが、基本的にBreakfast Sessions、Honoured Guest Lecture、Basic Science Lecture、Postgraduate Courses、Scientific Programme、 Re-Do Symposiumの大sessionがあり、教育に重点がおかれ、研究発表(Scientific Programme)は臨牀、基礎含め236題であり、本邦からは、心血管 14題、呼吸器 5題が発表されました。
小生は、Forum sessionにて、「IS VATS A FEASIBLE APPROACH FOR CLINICAL N0 AND PATHOLOGICAL N2 NON-SMALL CELL LUNG CANCER?」の演題で発表しました。原発性非小細胞肺癌に対する胸腔鏡手術の適応拡大に関する演題でしたが、時間的制約から(?)フロアーからの反響は低調でした。内容、英語でのプレゼンテーション法など、さらなる向上を図る必要があることを痛感しました。
他者の発表で、興味を引かれた演題は、”REDUCTION OF AIRSPACE AFTER LUNG RESECTION THROUGH CONTROLLED PARALYSIS OF THE DIAPHRAGM“
G.L. Carboni, A. Vogt, P. Berg, R.A. Schmid, A.E. Dutly (Switzerland)。これは上葉切除後空気漏れ軽減のための、横隔神経近位に留置したカテーテルから持続的に局所麻酔剤を注入することによる一過性横隔神経麻痺法であり、横隔膜挙上により死腔が減少し、遷延性空気漏れの減少に寄与すると考えます。また、”INHALATION WITH TOBRAMYCIN TO IMPROVE HEALING OF TRACHEOBRONCHIAL RECONSTRUCTION “ E. Stoelben, R. Riedel, J. Schnell, C. Ludwig (Germany)。これは、気管気管支再建後に、トブラシン吸入により、感染による縫合不全の発症を軽減するものであり、すぐにでも臨床応用可能で、大変参考になりました。
2008年EACTSは、9月13-17日の日程で、ポルトガル、リスボンでの開催になります。当地は、2001年に第1回 EACTS(第15回)/ESTS (第9回) joint meetingが開催され、教室の川原田と小生が発表のため訪れた経験があります。是非とも、優秀な演題を携えて多くの教室員とともに再訪したいものです。
(左写真:ルソー島からレマン湖大噴水を臨む)